お嬢様になりました。《番外編》

「行こう」



私の腕を掴んでいる玲の腕を、カルロが掴んだ。


その瞬間ピリッとした雰囲気になった。



「葵は今日は僕のパートナーなんだ。 いくらレイでも譲れない」



カルロ……顔は笑ってるのに目が笑ってないよ。


玲は玲で今迄に見た事ないくらい眉間にシワ寄せてるし……。


どうしたらいいの?



「カルロのパートナーである前に、俺と葵は友達だから。 友達と二人で話をするのに、わざわざ恋人でも何でもないお前に許可を取る必要はないだろう」



睨み合う二人。


私たちの様子が可笑しい事に気付いた人たちが、チラチラと見ている。


二人とも綺麗な顔してるから怒ってる顔も迫力がある。


カルロがパッと手を離し、ニコッと笑った。



「そうだね、僕の許可は必要ない。 でも、葵を泣かしたり、悲しませたら許さない」

「そんな事、言われなくても分かってる」



腕から玲の手が離れると、優しく手を握られた。



「少し話そう」

「あ、うん。 カルロ、ごめんね」

「ん、また後でね」



険悪な雰囲気を誤魔化す様に、カルロは笑顔で手を振りながら見送ってくれた。