どうにか降りようとジタバタしてみるが、がっちり掴まれていて降りられない。



「うわっ!」



突然体が後ろに傾いたと思ったら、後ろから抱きしめられ地面に足が着きホッとした。


お腹に感じる逞しい腕。


近くに感じる大好きな香り。


隆輝の傍は凄く落ち着く。



「お前は隙が多すぎんだよ」

「私のせいなわけ!? 好きで抱き上げられたわけじゃないじゃん!!」



隆輝の腕に力が篭った。


妬いてくれてるのかな?


もしそうなら、私のことちゃんと好きでいてくれてるって事だよね?



「僕のアンジェリカから離れてよ!!」

「あ? さっきからふざけた事ばっかりぬかしてんじゃねぇよ」



私を挟んで睨みあう隆輝とカルロ。


ひやひやする。



「二人ともいい加減にしなよ。 迷惑」

「お前は黙ってろ」

「葵が困ってる」



玲に目でありがとうと訴えかけると、玲は困ったように笑った。