お嬢様になりました。《番外編》

パーティーから数日が過ぎたけど、あれから隆輝は特に変わったところもなく、今までと何ら変わりない関係が続いている。


付き合い始めてからの方が寂しく感じるのは何でだろう。



「葵さん？ 大丈夫ですの？」

「……え？」

「何だかボーッとしてらっしゃるから」



カフェに向かっている途中、芽衣に声をかけられた。



「うん、大丈夫だよ。 お腹空き過ぎちゃったのかも」

「ふふっ、それでしたらいいんですの」



芽衣はいつも私の事を気に掛けてくれる。


華と芽衣は似てる。


だから芽衣とは最初から話しやすかったのかもしれない。


私たちの前を歩く隆輝と橘さんが普通に会話をしているのを見ると、少し胸が痛む自分は心が狭いと思う。


少し前までは何だかギクシャクしてる雰囲気だったから、今みたいに話をする様になった事は凄くいい事なのに、自分が隆輝とまともに会話しなくなったからって嫌な奴だよね。


突然隣を歩いている玲に頭を撫でられた。


顔を向けると、玲はニコッと微笑んだ。


玲も気にしてくれてるんだ……。


私もニコッと笑い返した。



「アンジェリカ……？」



ん？


今アンジェリカって聞こえなかった？


デジャヴ？