お嬢様になりました。《番外編》

突然頬に手を添えられ、振り払おうとしたけどできなかった。


儚くて、今にも泣いてしまいそうな顔で微笑んでいたから。



「あ、あの……」



声を掛けると男性の手がビクッと動いた。


気まずそうに手が離れていき、男性が苦笑いを浮かべた。



「ごめん……あまりにも似てたから……」



外国人とは思えない程滑らかで綺麗な日本語。


悪い人ではなさそう。


それにしても、モデルみたいな人だな。


私が知らないだけで、有名なモデルとかだったりするのかもしれない。



「僕は今迄、運命なんて信じてなかった」



……へ?


突然真顔で何なのこの人……。



「でも、今確かに感じたんだ。 君との運命を……」



……この人、頭大丈夫?


その前にどちら様!?



「アンジェリカが君の元へ導いてくれたんだと思う」



悪い人ではなさそうだけど、危ない人なんじゃ……。


そもそもアンジェリカって誰!?



「おい、何してんだ」



低く不機嫌な声が響き、顔を向けると、青筋を立てた隆輝が顎をあげ偉そうに立っていた。


ああいう雰囲気の時の隆輝はヤバイ。


絶対何か誤解してる。