お嬢様になりました。《番外編》

外に出て、高層階から眺める夜景は絶景だった。


だけど少し肌寒くて、肩から掛けているストールをギュッと握った。


キラキラしてる。


背後から微かに聞こえる賑やかな声を聞かない様、目の前の夜景に集中した。


やっと一人になれたと思うと、段々と肩から力が抜けていく。


ーペタ……。


ん!?


頬っぺたに何かが貼りつき、慌てて払った。


頬に貼りついた感覚がなくなり、辺りをキョロキョロ見渡すと、真っ赤なリボンが落ちていた。


なんだ……リボンか……。


ビックリした。


心臓バクバクだし、なんか変な汗かいちゃった。


私はリボンを拾い上げた。



「? イニシャルかな?」



真っ赤なリボンの端に、アルファベットのAと刺繍されている。


それにしてもこのリボン、物凄く肌触りがいい。


それに細かい刺繍も施されてるし、絶対高いんだろうな。



「アンジェリカ……?」



男性の声がして顔を向けると、背が高くてすらっとした、色の白い外国人男性が立っていた。


驚いた顔をして私の事を見ている。


彼は驚いた顔から泣きそうな顔に変わり、ゆっくり近づいてきた。