お嬢様になりました。《番外編》

パーティー会場は想像以上にキラキラしていて華やかだった。


前に参加した海堂家主催のパーティーよりも、若い人が多い気がする。


テレビで見かける著名人もちらほら。


分かってはいたけど、場違い。



「これはこれは、ご無沙汰しております。 お父様はお元気でいらっしゃいますか?」

「磯山会長、ご無沙汰しております。 えぇ、お陰様で元気ですよ。 磯山会長もお元気そうで安心致しました」



顎鬚の生えた貫禄のあるおじいちゃんに話しかけられても、隆輝は動じる事なく相手をしている。


心の中で感心しつつ、私はただ横で笑って二人の会話を聞いていた。



「失礼ですが、隣のお嬢さんは?」

「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。 彼女は私の婚約者です」



隆輝はそこまで言うと、チラッと目を向けてきた。


え?


何?


二人にジッと見られ、あ!っと思い、慌てて口を開いた。



「宝生院 葵です。 宜しくお願い致します」

「貴女が宝生院会長の……。 いつも宝生院会長にはお世話になっております。 磯山と申します。 宝生院会長に宜しくお伝え下さい」

「い、いえ、こちらこそ祖父がいつもお世話になってます。 その旨、祖父に申し伝えます」



名乗るまでは若干蚊帳の外だったのに、名前言った途端、少しだけ態度が変わった気がするのは気のせいだろうか……。