お嬢様になりました。《番外編》

行きの車の中で殆ど会話がないままホテルに到着した。


こんなチョー一流ホテルでパーティーなんて、本当お金かけてるよね。



「お前は喋らなくていい」

「……は? 意味わかんないんだけど」

「そのまんまの意味だろーが。 俺が挨拶するから、お前は余計な事を喋るな」



余計な事って何!?


……ムカつく!!


どうせ教養もなければ品も無いわよ!!


私は隆輝からぷいっと顔を背け、視線を落とした。


リボンの付いた真っ赤なパンプスが目に映る。


このパンプスも、ワンピースも、今日身に付けてるアクセサリーやバッグも、一生懸命芽衣と橘さんが選んでくれたけど、私なんかが身に付けてることが申し訳なくなっきた。



「顔上げろ」



隆輝はこんな調子だし……泣きそう。


急に隆輝が立ち止まり、ため息が聞こえた。



「何なんだよ、言いたい事があんなら言えよ」



言わなくても気付いてよ。


私は顔を上げ、頑張って笑顔を向けた。


せっかく一緒にいるのにこれ以上険悪なムードにしたくなかった。


いくらムカついたって、隆輝の事が好きな事に変わりは無いから。



「緊張してるだけ。 隆輝に恥かかせない様に、ちゃんと隣でおとなしくしてる」

「俺はそんな意味でお前に……」

「ほら、行こっ」



隆輝の言葉を遮り、強引に隆輝の腕を引っ張った。


このままだとパーティー前に泣いてしまいそうだったから。