「よっしゃー！再開だぁー！！」

なんて叫んで空き地に飛び込んできたのはサユと真二だった。

「・・・おいっ！おまえ大丈夫なのかよっ？！」
「ハル！絶対負けないからな！」
「・・・。」
「大丈夫みてーだな。」

ニカッと笑ってケンは俺の肩を叩いて立ち上がる。

「元気な奴。」

自然に俺とケンは笑ってた。


「うっしゃー！もーいっちょ頑張っか～！」

茜色に染まった空に向かってケンは大きく手を伸ばしながら叫んだ。

「絶対止めてやる。」

「「やってみな。」」

オレンジの陽を受けてサユとケンは振り返って同時に言った。

「上等。」

ベンチから立ち上がって、ヒサが蹴り上げたボールを目で追う。








３、２、１・・・ＧＯ！










「あれ、そーいや～サトは？」

「当たりくじ狙っておばちゃんと格闘中～。」

「はっ、あいつも懲りねぇな・・・いつものチョコ？」

「と、ガム。」

「おまえは何買ってきたんだよ？」

「アイス。」

「よこせ。」

「もー食ったよバーカ。」

「あーそうですか。」

「この試合に勝ったら奢ってやる。」

「んじゃ、勝った方にアイスって事で。」

「賛成～♪」


ポン。とパスされたサッカーボール。
目の前にはサユとケン。

さ、右と左、どっちに行こうかな・・・。

「抜く気？」

「当然。」

駆ける。
思いっきり地面を蹴って砂埃をあげて走り出す。









俺達はまだガキで、がむしゃらに走る事しか出来ないから・・・。