立脇が投げたボールに
まるで体が引き付け
られるように高く宙に
舞う『蝶』

その高さと打った瞬間の
ボールへの体重のノリは
それまでを、遥かに
超えるものだった。。

まるで、燃えているかの
ようにオーラを放つボールは
ドーンという鈍くて太い
音と共に床に、叩きつけ
られた。。

シーンと静まり返ったのも
つかの間、沢山の歓声が
体育館の中の二人を
包んだ。

「二人とも、すごかった
ぞー」

「鏡くーん、またバレー
やってー」

割れんばかりの拍手の中
鏡は、肩を落とし
立ち去ろうとした。

「約束だよっ、私が
今日からあんた達の
顧問だからね」

「勝手にしろ、だがな
俺は二度とバレーはやらねぇ」
そう言い残し、鏡は
体育館を後にした。。