「…俺は」

じっと黙りこんで
何も言わない私に

痺れを切らしたのか
内野くんが口を開いた。

「俺は、佐山のこと…」

次の言葉を待つ。

「好き。友達としてじゃない。
一人の女として…」

ドクン!

私の胸が大きく高鳴った。

ドキドキと、鼓動が速くなる。

「佐山は…?」

「わ、私も…好き」

小さく呟いた。

ずっと、ずっと、片想いだと思っていた。

夏休みのあの日から、ずっと
私は内野くんが好きだった。

なのに今、私の好きな人が
私を好きだと言っている。

私を想ってくれている。

こんなに嬉しいことはない。

ツウッと、頬に涙が伝った。

「おい、泣くなよ」

内野くんは慌てて涙を
指で拭った。

「ちが…。嬉しくて…」

それでも泣き止まない私に
「あー、もう!」と言って
私の両頬に自分の手を添えた。