赤と黒の小さな四角形が 沢山敷き詰められたA4サイズのノートだった。 (内野君に合うかもしれない…) 私は琴海の目を盗み、 パッとそのノートを手に取った。 「おじさん、これください」 「はいよ」 会計を済ませ、私達は店を出た。 「んじゃー、またね」 「うん、またね」 琴海は私に背を向けて 足早に去っていった。 私は琴海の背中を見送った後、 手に握りしめている紙袋に 視線を落とした。 いつノートを渡そうか、と考えながら。