「はい、」 高田くんの後に続いて、 1年C組に入る。 机の中から、物理のノートを取り出した彼は、 「はい、これ。」 と、私にそれを差し出した。 夏の終わりの放課後、 ずいぶん蝉の鳴き声は減ったのに、 まだまだ残暑が厳しいこの教室には 私と、高田くん。 2人だけしかいないみたいだった。