悪魔的に双子。

「青さぁ、みなさんの前で堂々と学ランのボタン留めてあげてたでしょ。」


「……それが?」


それの何がいけないのかわたしは首を傾げた。


有志は不器用だから、たまに学ランの一番上のボタンが外れてる。


いつもだったら気にしないけど、今日は休み明けだから風紀検査がある。


風紀委員にみんなの前で注意なんかされたら、有志のことだから泣いてしまうとも限らない。


蓮はこれ見よがしにため息をついた。


「はぁー、青さんってしっかりしてるようで天然入ってらっしゃるよねぇ」


「そんなことないと思うけど……」


天然といえばわたしの片割れの方であってわたしではない。


これでも自称、我が家一のしっかり者だ。


首をかしげるわたしをよそに、蓮は窓の外を見て顔を輝かせた。


「おうっ、今日もいらっしゃったよ。もう一組の園村双子。お二人さん今日も美しい~激しくおんなじ顔だ~」


わたしもチラリと窓の外をみやった。


いた、唯流と真昼。今日もチラチラといろんなところから視線を送られて、かなり目立ってる。


二人とも涼しい顔だ。


朝のパジャマ姿なんて微塵も感じさせない、見事なセーラー服と学ランの着こなし。


「あんたら、青と有志の双子とは出来が違うね、おんなじ苗字なのに。」


「………」


わたしたちふたくみの双子が、義理の兄姉弟妹(きょうだい)であることは学校では知られていない。


朝は別々に登校するし、全然似てないし、言わなければ知られるはずもなかった。


ただでさえ同じ苗字の双子で比べられるのに、これ以上ネタを増やしたくないから、わたしは誰にも言わないことにしている。


他の三人がどういった考えで隠しているのかは知らないけど。


「あの二人もたいがいラブラブしてるけど、まぁ、あんたらほどじゃないか。」


蓮はしたり顔でウンウンうなづいた。


「……そうでもないけどね。」


わたしは唯流に間違われてしょっちゅう真昼に抱きつかれてる。


思わず苦笑った。


「へっ?そうでもない?何であんたがそんなこと知ってんの?もしかして隠れ真昼ファンとかっ?」


半分一人言みたいな言葉に蓮は恐ろしい勢いで飛びついた。


「な、わけないでしょ、あんなやつ。」


わたしは両手をぶんぶん振り回して全力の否定をした。


「ほっ、あんなやつぅってことはある程度面識があると」


蓮の目が眼鏡ごしにギラギラ光る。


……こわい