悪魔的に双子。

学校につくと、わたしと有志は昇降口で別れた。


わたしは五組で、有志は三組だから。


やはり双子というものは、同じクラスにはなれない運命らしい。


たてつけの悪いドアをガラガラ開けて、わたしは今日も地味に教室へ入っていった。


窓際の席について一息つくと、眼鏡っ子の蓮が今日も近づいてくる。


ニヤニヤ笑いながら。


「おはよっ、プリンセス・ブルー。今日もお兄ちゃんとラブラブしながら登校してたね。」


「……君の監視ぐせ、どうにかならないかな」


ついでにネーミングセンスもどうにかしてほしい。


こいつ、相原蓮は、中学校に入ってからの友達だ。


ガリガリに痩せていて、小さい顔に対して、不釣り合いにデカイ黒縁メガネをかけている。


尖ったツインテールが何故か凶器に見えるという恐ろしいやつだ。


「いやぁ、だって2年5組の完璧な配置を利用しない手はないでしょ。」


そう言って蓮はニヤニヤ笑う。


わたしたちの教室、2年5組はちょうど、ほとんどの生徒が登下校に利用する、この風道中学の正門の真正面にある。


蓮曰く、登校時の生徒を観察するのは、学校内の恋愛模様を把握するのに欠かせない任務らしい。


誰もそんな任務にこいつを任じた覚えはないと思うが。