予想外にきっちり話してくれるつもりらしい蓮はさらに続けた。


「小学校に入ってもそれは変わらなかった。


アトピーは薬のおかげでだいぶマシになってたんだけど、友達の作り方わかんなかったし、欲しいとも思わなかったし、日常はそれなりに穏やかだったし。


で、四年生になったときにいじめが始まった。」


サラリと言ってのけた蓮に、わたしは何と反応すればいいのか分からなかった。


「体操服に落書きとか机に花瓶とか給食に消しゴムのカスとか、すんごいベタないじめ。辛かった。


地獄だと思ったよ。周りの反応なんてどうでもいいと思ってたはずなのに、くだらない奴らに見下されてるのが、悔しくて悔しくて仕方なかった。


で、わたしは逆襲を考えた。


いじめの主犯の子たちの周りを調べてね、弱みを探しまくった。」


蓮の詮索好きはそこからきてるんだろうか。


「で、ある一人の秘密を見つけて」


蓮は自嘲気味に笑った。


「暴露して、逃げた」


「逃げたって?」


「転校したの」


「……」