悪魔的に双子。

登校中、有志が心配そうに聞いてきた。


「また、唯流に間違われて、抱きつかれたの?」


「ううん、今日はしっかり青って言ってた」


有志が驚いて目を見開く。


そういえば、唯流じゃなくて青ってわたしの名前呼んでたなって、有志に言われてはじめて気づいた。


朝起こしに行ったわたしに真昼が抱きついてきたのは今日がはじめてではない。


だから、あいつを起こしに行くときは常に警戒態勢だ。


どうも、朝起こしに行くと、わたしを唯流と勘違いするらしい。


わたしたちと暮らし出す前は唯流に起こされてたのかもしれない。


でも、今日ははっきり青ってわたしの名前呼んでた。


何でだ?二重に寝ぼけてたとか?


どんな寝ぼけ方だ。


「青、今度から真昼くんは僕が起こすよ。」


いきなり、有志が妙に意気込んでわたしに言った。


「……そりゃ、起こしてくれるって、言ってくれるのは助かるけど……大丈夫?」


いろんな意味で。


「真昼にいじめられるよ?」


ただでさえ、真昼は有志とわたしをいじるのを生きがいとしているようなやつなのだ。


特に有志は、居間で一人テレビ見てるときに、帰ってきたあいつにチャンネル変えられて、訴えるような目で見てると、


「ああ、すいません、影がうすくて気がつきませんでした。」


とか言われて泣かされて、わたしに泣きつくなんてことがしょっちゅうなのだ。


「僕は青の兄貴なんだから、青が嫌がるようなことは嫌なの。」


有志がやけにむきになってさらにせまる。


今まではほおっておいたくせに。


やっぱり、今朝、静かにキれたわたしを目の前にしたせいだろうか。


有志が真剣な目でわたしを見つめる。


「……だったら、明日からお願いしちゃおっかなぁ。」


「う、うん」


自分で言い出したくせに、いざそうなったら、少し怖くなったらしく、有志の頬が引きつる。


「無理しなくていいよ?」


わたしは有志の腕に自分の腕を絡めて、顔を覗き込んだ。


「へ、平気だよ。それに真昼くんだって僕の弟なんだし。」


きょどってるよ、お兄ちゃん。


「有志、抱きつかれたら、思いっきり振り払うんだよ。あいつひ弱だから簡単にほどける。」


「あ、…はい。」