「青ちゃんは笑い上戸なのかなぁ、しょっちゅう俺のこと見て笑うし。」


「は、はい、箸がころがっても面白い年頃なんです」


先輩が何とも言えない顔をしているので、わたしはそういうことにしておいた。


「……そっか」


先輩はそれで納得することにしたらしく、にっこりして言った。


そして再びピアノと向き合い、一生懸命な音を奏でる。


何があったのかもう聞かないんだ、とホッとするの半分、少し残念な気持ち半分で、わたしは先輩の背中を見つめた。


ここに毎日来ることで、先輩の練習の邪魔をしているようなもんなんだから、今度からはため息つかないように頑張ろう、とひっそり心に決めた。