悪魔的に双子。

「有志、ごめん」


駆け寄って腕に抱きつくと、有志は唇をとがらせた。


「何の話してたの?」


「うーん、わかんない」


実際新田が何であんなことを気にするのかわからないから、嘘ではない。


「龍っ、まひ……園村くん呼んでよ」


有志はわたしの背後に立つ新田に、幾分きつい言い方でお願いをした。


「はーい」


新田は気にするでもなく、有志に笑みを返して真昼を呼んだ。


サイヤクの方法で。


新田はいたずらっ子のような顔をすると、


「まっひるくーん、もう一組の園村双子が呼んでるよ~」


と教室の中に向かって叫んだ。


何人かが何事か、みたいな顔を向けてくる。


……これなら自分で呼んだ方がましだった。


予想外の巻き込まれ方をした有志の顔は青くなってるし。


教室のもう一つの扉の方にいたらしい真昼がこちらに近づいてくる。


「なぁに?」


真昼は天使のような笑みを浮かべてわたしと有志の顔を見比べた。


こいつ、自分が弁当忘れたこと気づいてないんだろうか。


「えっと……」


わたしは突き刺さる視線に顔を俯かせた。


しかし、いつまでもこうしている訳にはいかない。


意を決して、持っていたでっかい袋の中から、真昼の弁当を取り出して、乱暴に突き出した。


「はいっ」


頬が勝手に火照る。


後ろで新田が目を丸くしているのが何となく分かった。


真昼はしばらく弁当にじっと視線を注いで、白い腕で受け取ると、わたしに向かってにっこり微笑んだ。


「ありがとう」


「……」


怖いっ、二組の中にいる女子たちが怖いっ


なにぬけがけしてくれてんだみたいな顔が怖いっ