悪魔的に双子。

新田は困ったような顔をしてわたしを見た。


新田のくせに、そんな表情するなんてらしくない。


「新田くんの事情って?」


「それは内緒」


新田は軽そうな笑みを浮かべて言った。


「……あっそ、じゃ」


「待ってよ」


二組の前で困った顔してわたしたちを見ている有志のところへ戻ろうとしたら、新田に腕を掴まれ、引きとめられた。


つい先日真昼におんなじことされたなぁと思いながらわたしは振り返って首をかしげた。


「なぁに?」


新田はいつになく真剣な顔をして言った。


「真昼と青ちゃんは、付き合ってないんだよね。」


わたしは目を瞬かせてうなづいた。


「うん、当たり前」


そう返すと、新田の顔にからかうような笑みが戻ってきた。


「そっかあ、そうだよな~真昼と青ちゃんってないよなぁ」


……なんか地味に腹立つんだが。


「んで、今日は真昼に何の用事なわけ?」


仏頂面のわたしにますます笑みを深めながら、新田はたずねてきた。


「…べっつに」


弁当渡しにきたなんて言ったら、何て言われるか分かったもんじゃないうえに、変な噂を流されないとも限らない。