悪魔的に双子。

「有志には聞かせられないの?」


「いや、別に俺は構わないけど、真昼が嫌かなと思って」


「ま……園村くんがどうかしたの」


「青ちゃん、いつぞやバスケの練習見に来た時、泣いたじゃん。」


傷をえぐられたような気持ちになってわたしは思わずうっ、とうめいた。


「あの時は……ごめん、練習してたのに、気が散ったよね」


屈辱を噛み殺して小さな声で謝罪すると、新田は、いいのいいの、とほんとどうでも良さそうに手を振った。


まったく適当なやつである。


「話戻って、青ちゃんが泣いてるの真っ先に気づいたの真昼でさ、とっさだったと思うんだけど聞いちゃったんだ。」


新田はそこで少しためらうようなそぶりを見せた。


何もかもどうでもいい、みたいな顔したやつなのに。


わたしは、真昼のやつ何を口走りやがった、と身構えた。


新田は続けた。


「真昼が青っ、て青ちゃんの名前呼ぶの」


「へ?それだけ」


またもや気が抜けてわたしはマヌケな声を返した。


「そんなの、わたしの名前知ってて、それが出ただけの話でしょ。そんな有志に隠してどうのってこともないじゃない。」


「いや、あの時の真昼の青ちゃんを呼ぶ声の調子が何とも言えなくて。焦ってたっていうか切羽詰まってたっていうか、試合中だってのにそんなこと忘れてばって駆け出そうとしてた。」


「………でもこなかったよ」


「それは俺が止めたから。」


「何で止めたの?」


「それは……俺の方の事情」