悪魔的に双子。

二組の前に来ると、わたしは思わず顔をしかめた。


扉に一番近い席に新田龍三郎がいる。


こいつに気づかれずに真昼を呼ぶのは無理だろう。


どうしようかと立ちすくんでいると、新田を見つけた有志が声をかけた。


「龍っ、こっち向いて」


珍しくしみったれた顔をしていた新田はぱっとこちらを向くと、わたしの顔をみて驚いた顔をした。


「あれ?有志と一緒に青ちゃんもいる。どしたの?」


有志は新田を捕まえられてラッキーだと思ったのだろう、弾んだ声で言った。


「うん、ちょっと、園村くん呼んでくれない?」


「園村?真昼か」


新田は一瞬、園村くんはお前だろ、みたいな顔をしたが、すぐに理解して、何故かからかうような笑みをわたしに向けた。


そしておもむろに立ち上がると、わたしの目の前に来て目線を合わせて少ししゃがんだ。


新田の茶色い目ん玉が目の前に来てわたしは少しのけぞった。


新田はますますにったりして、わたしにしか聞こえないくらい小さな声で言った。
「青ちゃんってさぁ」


「な、なに」


「真昼と付き合ってるの?」


「……は?」


予想外の問いにわたしは思わず気の抜けた声を返した。


「なんでそう思うの?」


わけがわからなすぎて、全力で否定するより先にそうたずねていた。


「いやぁ、だって、ねぇ」


「ちょっと、何2人で内緒話してるの」


有志が少しむっとした顔をして言った。


「あーごめんごめん、有くん。ちょっと待って」


新田は優しい笑みを有志に向けると、わたしの手をひいて少し有志から離れた。