悪魔的に双子。

「ゆ……し」


「あ、青…どしたの?」


わたしの声に、有志はぱっと顔をあげ、わたしの顔を見るとギョッとした声をだした。


「うん……ちょっと。そこでお兄さんとお話がしたいからちょっと廊下へ行こう。」


「ほえ?うん」


横っちょでは男らしい挨拶を済ませた田城と蓮がしゃべっている。


蓮が一方的に弾丸放ってるだけだけど。


わたしは有志を引っ張って廊下に出ると、顔を近づけた。


廊下は騒がしいから、ある意味一番安全地帯。


「じつはさ……真昼が弁当家に忘れて行っちゃって、今、わたしが持ってるの」


「ふーん、それで?」


状況の深刻さを理解していない有志が首を傾げる。


「渡しづらい。弁当なんて公衆の面前で王子さまに渡したら、なに誤解されてどんな目に合うか分かったもんじゃない。」


「……たしかに」


ようやく分かったらしいよ有志がポンっと手を叩いた。


「でさ……有志にお願いがあるの」


「な、何でしょう」


「弁当を真昼に届けて下さいっ」


「え……いや、無理」


「なんでっ」


気が滅入った顔をしたわたしを困ったような顔で見ながら有志は言った。


「や、だって僕が渡したらもっとおかしいでしょ」


……たしかに。