悪魔的に双子。

「ゆ、唯流、ちゃん?」


唯流が家を出ようとする時、わたしはおずおずと声をかけた。


「なに?」


昨日の不機嫌がまだ残っているらしい唯流がぶっきらぼうに振り返る。


ふわふわの髪が宙に舞った。


「あの…これを真昼に渡して欲しいんだけど…弁当忘れてっちゃったみたいだから」


わたしは笑みを引きつらせながら、真昼の弁当袋を唯流に差し出した。


はっきり言って唯流の返答にわたしの運命がかかっている。


わたしはお願いします、と唯流様に念を送りながら、見守った。


しかし、唯流はしばらくじぃーっと黒い布地を見つめていたが、


「やだ」


とそっけなく言い放って家を出ていってしまった。


あとに残ったわたしはガクッとうなだれて弁当袋を落としそうになり、あわてて指に力をいれた。


そして唯流の出ていったドアへと目を向ける。


……ツンツンしちゃって、まあ。