「唯流だって有志に起こしてほしいっ青はいやっ」


「何で唯流は青が起こすのに僕は有志くんなんだよっ」


「ちょ、ちょっといっぺんにしゃべらないでよ。」


それぞれに喚く双子の弟と妹に、頭が混乱して、助けをもとめるように有志を見ると、有志も困惑顔をしていた。


わたしは唯流に、有志は真昼に恐ろしく失礼なことを言われた気がする。


「なに?真昼はわたしに起こしてほしいわけ?」


そう尋ねると、さっきまでの勢いはどこへやら、真昼がぴたっと止まる。


唯流も黙って、双子の兄の反応を見つめた。


ややしてぼそっと真昼は言った。


「……別に、そういうわけじゃない。」


「……じゃあ、有志が起こすのでいいでしょ?」


ダメなんだろうか。


不思議に思いながら首をかしげると、真昼は諦めたような顔をして笑った。


「……唯流も有志に起こしてほしい。」


拗ねたような口調で唯流が重ねる。


「だって」


わたしはそう言って有志の方に顔を向けた。


そこには、昨日の帰り道に見せたのとよく似た表情の有志がいた。


しかし、口元にはかすかな笑みがうかんでいる。