翌朝、いつも通りの時間に有志を起こしに行くと、驚くことにもう起きていた。


そんなこと、わたしが有志を起こすようになってから一度もなかったのに。


……恐ろしいことの前触れかもしれない。


「おはよ」


わたしが部屋の中にはいると、有志はふわっとした笑みを向けた。


「真昼くん、起こさなきゃね。」


「が、んばれ」


有志の笑顔がぴくっと引きつる。


わたしは改めて、何でわたしのきょうだいは誰一人として目覚まし時計じゃ起きないんだろう、と虚しい気分になった。


「じゃあ、わたしは下降りてるから。」


「うんっ」


有志はやけに元気よく返事をすると、緊張した後ろ姿で真昼の部屋へ入っていった。


たかだか義理の弟を起こすことにこれほど覚悟を要するなんて、他では聞いたことがない。


わたしと有志くらいのもんだろうなぁ、と小さくため息をついて、わたしは階段を降りていった。