悪魔的に双子。

「有志、ごめん」


わたしは突然立ち止まり、有志に頭を下げた。


「うわぁ、な、何」


有志が驚いて大げさに飛びのく。


わたしは意を決して頭をあげ、無駄に目に力をいれて有志を見据えた。


いや、有志のひるみ方からして多分睨んでた。


ふおぉーーーはぁー


深呼吸をして、わたしは慎重に言葉をはいた。


「あのね、有志」


「は、はい」


「有志の部活が終わるの待ってたのはね、有志のためとかじゃないの」


「……はい」


「わたしね………」


これから自分が吐くであろう言葉を頭の中で反芻して、顔に血がのぼる。


有志はわたしの突然の百面相にかなり混乱しているようだ。


「す、好きな人ができたの」





…………ゆ、有志から反応がかえってこないっ


わたしは顔をさらに発火させて一気に告白した。


「あのね、わたし好きな人ができてね、有志の部活待ってるのはね、そ、その人と一緒にいたいからなの、だからね、有志が気にすることは…ないの。」


有志の表情が少し怖くて語尾がかすれた。


わたしは一度うつむいて、いたたまれない気持ちのまま、もう一度顔をあげた。


そこにはわたし同様発火した顔の有志がいた。


「……お兄さーん、何で君が恥ずかしがってるの」


「や、だ、だって」


有志は真っ赤なほっぺをおさえて小さくつぶやいた。


「青に好きな人って………」


そのまま何にも言えなくなったのか、有志はきゅっと唇を結んだ。


……小5の女子か


と思わず心の中でつっこんでしまったことを、どうか許してほしい。