悪魔的に双子。

「青さぁ」


「うん?」


帰り道、別に話すこともなく、黙ってもくもくと歩いてたら、有志がどこか躊躇うように瞳を泳がせて、わたしを呼んだ。


「青、先に帰ってもいいんだよ?」


「……へ?」


思ってもみなかったことを言われて、口から間抜けな声がでた。


「いや、待っててくれるのは嬉しいんだよ?」


何を勘違いしたのか、有志は弁解するように手を振って言った。


「でもさ、青は部活入ってないんだし、やっぱおかしいよ。」


有志がわたしから目をそらして俯く。


何も言わないわたしの様子が気になって仕方がないようで、微妙な上目遣いで見つめてきた。


「何をいまさら」


有志の部活が終わるのを待つ習慣ができてもう一年がたつ。


いきなりそんなことを言い出した意味がわからなくてわたしは首をかしげた。


「青だってしたいことあるでしょ、僕に付き合ってることないよ。」


「いやぁ、でも…うーん」


わたしは困って顔をしかめた。


有志の部活が終わるのを待つのは、凛太朗先輩と音楽室にいたいからだ。


はじめは違ったけど、今ではほとんど口実づくり。


「あのねぇ、有志」


わたしはあきらめて白状することにした。


真剣にわたしのこと考えてくれてる有志に、嘘つくみたいなことはしたくない。


言うのは相当こっぱずかしいけど。