真昼との関係は、はっきり言って、何が変わったとも思えない。


真昼は相変わらず学校ではいい子のくせして、家では嫌味ばかり。


こいつ、ほんとにわたしのこと好きなのか⁈と疑いたくなるわたしの気持ちも分かるだろう。


でもふっと目が合うと、わたしだけにそっと微笑んでくれるから、それはちょっぴり気にいっている。


「天気いいなぁ」


昼休み、ご飯を食べた後、真っ青な空に吸い寄せられるように中庭に出た。


なんだか、学校がはじまって逆にわたしの日常はのんびりしはじめている。


たまにひそひそ何か言われるけども。


「あーおちゃん」


軽そうな声の方に顔を向けると、見るからにチャラい笑みを浮かべた新田がいた。


「青ちゃん、すっかり有名人だね。さっき一年生の女の子たちが指さしてた。」


「……もー、慣れたよ」


わたしのぼんやりした返事に新田がくくっと笑った。


「だよねー、つか今青ちゃん、ものすごく幸せそうだもんね」


「ほえっ?」


きょとんとすると、新田の顔が意地悪い感じにゆがむ。


「噂、本当なんでしょ?真昼と付き合ってるんだ」


「そ、それはっ」


否定できません。


そう、たぶん、確認したわけじゃないけど、わたしたちは付き合ってる。


「ううっ」


どう反応していいかわからずうめくと、


「あーあ、やっぱそうかぁ」


と新田はどこか寂しげにつぶやいた。


「ざぁんねん」


「なにが残念なの」


むしろわたしをいじるネタができてこいつ的には好都合のでは?


頭の中でくるくる考えていると、新田が少し呆れたように苦笑う。


「青ちゃん、考えてることわかりやすいなぁ」


「そうかなぁ」


「そうだよ」


「でも新田くんだってミステリアスとは言い難いもん」


「ははっ、青ちゃんは俺のこと何にも知らないよ」


その言葉にふっと寂しくなる。


「なんで?友達じゃん、一応」


「一応って、悲しいなぁ」


全然悲しくなさそうな声で新田が嘆く。


「俺さぁ」


田城追っかけまわしてた頃はよく見てたけど、いつになく真面目な顔で、新田はわたしを見据えた。


「青ちゃんのこと、好きだったんだよねぇ」


「………は⁈」


予想外の言葉に目の前が白黒する。


そんなわたしに新田はたちまちもとの軽そうな笑顔に戻ってけらけらと笑う。