悪魔的に双子。

「新しい兄妹がいるのよね。どんな子たちなの」


何気ない会話を重ねているとき、ママはさらりと尋ねてきた。


注文してから5分も待たずにきたスパゲティを口に運ぼうとしていた手が止まった。


前をみるとママは何の億劫もなくばくばくハンバーグを食べている。


「……弟と妹。わたしたちと同じ双子だけど、見た目はとても可愛くて、でも中身は意地悪でひねくれてて人のことバカにしたことばっか言う。」


わたしが答えると、ママはくすくす笑って言った。


「それはすごく楽しそうね。」


そしていたずらっぽく目を光らせる。


「弟と妹のこと、大好きなのね。」


今度はわたしが首をかしげる番だった。


「今の聞いてなんでそう思うの」


「だって、小さい頃から青ってば、自分が本当に嫌いな人の悪口は言わないんだもの。わたし似なのね」


ママはおどけたように片手をあげてみせた。


「嫌いな人の悪口言うと本物の憎悪がこもっちゃうから嫌なのよね。気にいってる人の欠点をあげつらねるのは楽しいわ。悪口といえども愛情があるし、温かいものがあるもの。」


普通の顔して怖いことを言う。


わたしのママって、こんなにひねくれた人だったっけ?


でも、ママはわたしはママ似だと言った。


つまりはたから見えるわたしはこんな風にひねてるってことだろうか。


だとしたらショックだ。


いや、でも、ママに似てるのは嬉しいかも……?


「どうしたの、百面相して」


ママが心底おかしそうに笑う。


あの夜、わたしと有志に会いにきた弱々しいママからすると別人のようだ。


でもこれもママ。


失ってしまった数年間がこの数分で埋められていくようで嬉しい。


わたしも自然と笑みをこぼしていた。