悪魔的に双子。

それからまた一時間ほど自転車に乗って、ようやくホテルにたどり着いた。


……車の後部座席からしか見たことがなかったけれど、やっぱりこのホテル、でかい。


清潔感のある輝きが建物から燦然と降り注いでいる。


ママ、ここに何十日も泊まるなんてどれだけ稼いでるんだ。


中に入ればたちまち場違いだろう。


しかし、入るしかない。


入って受付の人に事情を話し、ママの部屋に電話をかけてもらう。


妙に緊張して寒さをあまり感じない。


自転車を駐輪場につけて、ガチンゴチンになりながらもホテルの正面入口に向かった。


ああ……近づいてくる…自動ドアが近づいてくる……


きらっきらした中の様子がはっきり見えてきた。


「青………あお‼」


ほとんど音をたてずにドアが開いたのと同時に、誰かの声がわたしを呼んだ。


「あ、ママ!」


ママの顔をみて、会うか相当悩んでたはずなのに、目の前に突如として立ちはだかった試練を回避できたおかげで、わたしはひどく安堵した。