悪魔的に双子。

善は急げって言葉があるけど、わたしの場合は早く行動に出ないと心臓と胃が持ちそうになかったので、もう次の日にはママに会いに行くことにした。


この冬買ってもらったばかりの黒いコートを着て、すちゃっと自転車にまたがる。


ママの滞在しているホテルは、徒歩で行くには遠いが、自転車でなら行けないこともない距離にあった。


……なんか三輪車に乗ってる3才児に逆戻りした気分だ。


これから行く場所は未知の領域……では全くなかったけど、とにもかくにも一人で行くのははじめてだ。


緊張やら高揚やらいろんなものがまじって、手袋をはめている手に汗が滲んできた。


なんの防寒もしていない顔ばっかりが冷たくて、わたしの鼻真っ赤になってるよな、と若干恥ずかしい。


一時間ほど自転車を漕いて、ひと休みしようと一旦止まった。


冬の澄んだ空気がピリッと肌をさすけど、それすらも心地良い。


空が綺麗だ。


突き抜けるような青色をしている。


わたしの『青』という名前は空の青だ。


わたしたちの生まれた日の空が、びっくりするくらい鮮やかな青色をしていたからなんだそうだ。


『青』だなんて言いづらい上にぱっとしない名前、そんなに好きではないのだけれど、もしわたしたちの生まれた日の空が今日の空と同じくらい綺麗のものだったなら、好きになれそうな気がした。