悪魔的に双子。

「は……何?」


先輩たちは互いに顔を見合わせて、戸惑ったように笑う。


「唯流のこと、そんなよく知りもしないで、悪口言わないで下さい。」


「……唯流ちゃんの友達?」


四人の中の、リーダーっぽく見えるポニーテールの人が眉をつりあげて言った。


「……の、ようなものです」


「あっ、そうなんだ。」


先輩たちはクスクス笑って、再び顔を見合わせた。


ポニーテールの人が腕を組んでわたしを見下ろす。


「別に本人目の前にして言ってる訳じゃないんだから、よくない?そんなキレるようなことじゃ……うわぁっ」


先輩が言葉を中断して叫んだのは、わたしの目にじわりと涙が滲んだからだろう。


「そ、そうだけど、聞きたく、なかったから」


急にこみ上げてきたものは、わたしの意思では抑えようがない。


わたしは必死で言い返しながら、涙が溢れるのを必死でこらえた。


もともと優しい人たちらしく、先輩たちは総出でわたしを慰めにかかった。


「ごめんね、もう言わないから。」


「よしよし、泣かないで。」


何やってんだ、わたし。


と心の隅っこで冷静なわたしの分身がツッコミをいれたのは言うまでもない。


「青っ」


ふいに男の子の焦った声がわたしの名前を呼んだ。


血相を変えた有志がわたしの元へ走ってくる。


「青?どうした?」


わたしの肩をやんわりと抱き、優しく尋ねてくる。


わたしは何でもない、と首を横に振って、有志の肩に顔をうずめた。


横の方で先輩方が途方に暮れているのがわかる。


「有志、部活終わるぞっ」


「……はいっ」


先輩らしき人の声に返事をすると、有志はもう一度心配げにわたしをぎゅっと抱きしめ、チームメイトの元へ走って行った。