先生も止めることを忘れているのか、新田と田城の声しか聴こえない。


おそらく聴いている全員が耳をすましているだろう。


『お前の言ったとおり、俺はしつこいんだよ。知ってるだろ、お前も。』


『うん』


『でもな、俺も知ってるんだよ、龍がしつこいこと。』


田城のため息まじりの声が聞こえた。


『だから俺は…』


………切れた。


プチって、プチって放送が切れた!



止めに行っていた先生が我に返ったのか、突如放送が切れた。


「ドラマみたいで面白かったのに…」


思わず本音を口走ると、真昼があきれた視線を送ってきた。


「……じゃ、見に行く?」


「ほえ?」


「だから、屋上でやってるんだから、見るだけならできるでしょ。声は聞こえないだろうけど。」


……見えるだろうか?


可能性は薄い気がしないでもないが。


「い、行ってくるっ、別に好奇心だけじゃないよ」


一応付け加えると、またもうろんの目を向けられる。


「知らないよ、好奇心だろーがなんだろーが。…僕も行くよ」


人混み大丈夫なの?と聞く余裕もなく、わたしたちはかけだした。