ここで少し演出の仕方が変わった。


途中途中で突然、照明が消え、一人の人物にスポットライトが当てられる。


その間、照らされている人以外はまるで時が止まったかのようにピタッと動かない。


そして、スポットライトに照らされた人物の心情がアナウンスされるという演出だ。


王子と踊る番が来るたびに、一人一人のシンデレラ候補の思惑がアナウンスされる。


お姫様になりたい

お金持ちになりたい

王子さまへの憧れ

権力欲


中には、家が貧乏で、妹に服を買ってあげたい、という泣かせることを考えている少女もいた。


真昼扮する少女は、なんというか独特だった。


はっきり言って、王子と結婚などしたくない。


お城の行事やら、隣国との外交やら、いろいろめんどくさそうだ。


自分の足が小さかったばかりに面倒なことに巻き込まれてしまった。


しかし、自分の心情を伝えるのもめんどくさい。


あの、やたら王子に忠実そうな従者は、王子と結婚したくない、などと言えばきっと怒るだろう。


ああ、めんどくさい、めんどくさい。


つまりは、この女の子、ただのめんどくさがりらしい。


どこかで似たような人間を知ってるような、知らないような。