ピンポンパンポン


『今日から午後は文化祭の準備に入ります。生徒の皆さんはすみやかに指定された場所に移動してください』


ピンポンパンポン


「ねぇ、今の声、新田じゃなかった?」


「あー、なんか文化祭実行委員だとか言ってらっしゃったような」


放送の声に今の今までダラダラ昼休みにきょうじていた生徒たちが動き出す。


わたしも荷物を持って立ち上がった。


文化祭の一週間前だ。


これから午後はずっと文化祭の準備。


授業がないのは楽だが、わたしの心境はそれほどに明るくない。


わたしの暗い顔に、蓮がふんぞりかえった。


見下ろす先にはちっこい顔にでっかい眼鏡。


なんか腹立つ。


「だ~から言ったんですよ~わたしと同じ、劇にすればよかったのに」


蓮の言葉に思わずため息が出た。


「やだよ、劇なんて……恥ずかしい」


「うわー、わたしが恥ずかしい人みたいな言い方ですね」