こうして、何週間か過ぎた頃、ピンクさんが私に楽譜を手渡した。
「なに?これ。ピンクさんの曲?」
私が聞くと、ピンクさんは、自信ありげに、
「おう!次の路上、これやりたいんだ。歌ってくれるか?」
と、言ってきた。
あたしは、断る理由もないし、ピンクさんの作った曲を歌ってみたくなって、迷わず返事をした。
「うん!もち、オッケー☆」
「良かった。じゃあ、宜しくな?」
私は、この曲に、どんな想いを込めて作ったのかなんて、知るハズもなく、
これから待ち受けるあたしの恋に、気付くハズもなく。
出来れば、
知りたくなかった―――
気付きたくなかった―――
自分の気持ちにも、
キミの気持ちにも。