『!?……っ!!』

「…………プッ」



イルカ。

そう書かれた水槽を我が物顔で泳ぐ……

ジュゴン。



それを見て困惑している女の子。


『い、イル!?え、おまっ凄いこ、個性的な顔をしてるな…』

「ブッ!アハハハハハ!」

『な、なに?』



我慢ならずに吹き出した俺に不思議そうに顔を向けた朔月君。

仕方ない、可愛いいから黙って見てたけど教えてあげようか。


「…朔月君、それ、ジュゴンだよ。多分、今は午後にあるショウの練習のために違う所にいるんだよイルカ」

『え、あ、ジュゴンか!あ…そうだよな。ジュゴンか、お前は』


アハハ、と苦笑いしながらジュゴンを見る。
ジュゴンは変わらずユラユラと泳いでいた。

小さいその目は何を見てるんだろうね?



『…でも、やっぱりお前は個性的な顔をしてるな』

「フフッ、確かに」



クルクル回りながら、小さい目がチラリと俺達を見た気がした。