『………』


パクパクと口を開いたり閉じたりをする朔月に慎二が追い討ちをかけた。


「じゃあ、…一つ頂戴?」

『……何を?』

「朔月君」



クスリと笑い慎二は朔月を指差す。


『…オレは物じゃないからアゲラレマセン』



……でも、欲しいよな。

慎二には悪いが譲れねーんだよ、俺も。



「…じゃあ、朔月君との時間を頂戴?」

『…何それ。そんなの何の価値もな…』

「俺も。一緒にいてくれ」

『…………ぇーー?』



物より何よりお前が欲しい。

……て、何恥ずかしい事思ってんだ?俺。



俯いた朔月を見て俺も恥ずかしくなる。



「ね、いい?」

『もう君達には何もあげません!!』

「えーケチー」

『大丈夫。オレも何もいらないから!』

「それは駄目」




慎二と朔月のやり取りを横目に、口角をあげた。

この俺に気になる奴が出来るなんてな……



まともに女と話した事がない俺にとって初めての体験だ。



『…もーう、慎二五月蝿い!』

「ひどいなぁ…遊ぼうよ、朔月君」

『あー、はいはい!分かったからー……翔助けて』

「………俺も朔月と遊びたいんだけど」

『………』




毎日が…学校がこんなに楽しいもんだとは思わなかった。


明日も朔月の顔を見るのを楽しみに学校に来るんだろうな。






……そうだ、イチゴ大福買わなきゃな。




〜のんびり組 end〜