おぉ、あった。

あの桜の木―……っと、誰かいるな。




目当ての桜の木の前に男と女の姿が。

何やらもめている様子?



仕方ない、戻ろう。……ってしたいけど小鳥は気になる。

男女からは死角になっている校舎の壁から覗き込み、小鳥の巣を伺う。


どんなに目を細めてもその細部までは見えなくて断念。




んーもういっそのこと邪魔しちゃおうかな。

うん。そうしよう。



皆の中庭なんだから。そんな場で話す君達にも非がある!って事でー…いざいかん!


ザッ、と足を踏み出す。





「〜〜っ!黙ってないで何か言ってよ!」

「…何が〜?」

「何って…!彼女の私がいるのにB組の小山さんに告白したって聞いたんだけど!?」

「したよ〜だから?」

「だから?じゃないわよ!なんでそんな事をしたのかって聞いてんのよ!」




おぉぉ…修羅場か。

死角から出てはしまったが白熱していて気が付かない様子の男女。



いや、しかし。

聞いてしまったから更に出にくくなってしまった。
しかも、今は修羅場の最高潮とみた。




確かB組の小山さんって学年1可愛いと噂されてる子だな。

廊下のすれ違い様にチラッと見たけど可愛いかった。

歩き方とか話し方とかも可愛いらしかった。
ちょっとプリプリしてる感じだが…ぶりッ子はわりと好きだからな。

自分を可愛いく見せようと頑張る女の子はやっぱり可愛いんだよ。


………と、オレの好みになってしまったか。