そもそも、恋に落ちる事はない。

言い切れる絶対ない。



………待てよ。

つか、女にその気はないかもだろ。
ナルシストか俺は。


「…遠野」

「遠野…さん?」


と言うことで簡単に名乗っちゃいました。

さっきも言ったけど…やっぱもう会うことないだろうから良いだろ。



「遠野さん、ありがとう!」


またお礼を言った女は今度は笑顔。

繁々と顔を見るとなかなかの美人だった。
化粧がされていない、純粋の透き通るような白い肌。小さい鼻。プックリした唇。

決めては綺麗な蒼い瞳。



「……どーいたしまして」


得したな、俺。

美人見れたし。


「…私、晶って言います。よろしくお願いします」


あきら?

いや、名乗られても…。

…礼儀か。


「あー、よろしく。じゃあ」

「また!」


今度こそ別れた。

爽やかな笑顔を向けてきた晶はやっぱり美人。

少しドキリとした事は内緒だ。














―――…

『……で、休みは終わった、と』

「あぁ、そう。そんだけ」


翌日、仕事に復帰した俺は休みであったことを朔月に話した。

はあーと溜め息をついた朔月は朝食を口に運びながら俺を見ると、


『…連絡先とか聞いとけよ…んな美人ならオレも見たかった』

「ハハハ、妬くな妬くな」

『妬いてねー』


俺はお前を守るので手が一杯なんだ。
…アイツはきっとどっかの王子様が現れて助けてくれるさ。


『……んでも、美人のアキラ……』

「どうした?」

『まさか…………、ブハッ!』

「??」


突然噴き出した朔月は腹を抱えて笑う。
首を傾げるも笑い続ける。

『ちょ、最高!アハハハハハ!』

「何がだよ」