マジでお父さんか。
「……出よ」
レジをさっさと済ませて、また宛もなくフラフラど繁華街を彷徨く。
お父さんって。
自分で言っといて悲しくなってきた。
「キャッ!」
「!…っと」
突然背中をドンと押され、踏みとどまる。
後ろを確認すると怯えた顔の女が俺の背中にしがみついていた。
「すいませんっ!…あのっ助け…」
「おらぁ!ねえーちゃん、舐めた真似しやがってぇ!あぁん??」
どうしたと問う前に話し出した女。
そして、後から柄の悪いオッサン。
面倒くせぇな。
「…何か良く分からねーけど、オッサン、暴力は駄目だぞ」
女を背中に隠すようにオッサンと向き合う。
ギロリと俺に目を向けたオッサンは更に声を荒げた。
「お前には関係ねぇ〜〜んだよ!!」
知ってる。
関係ねーよな。
「…だから?関係なければ、暴力許して良いと?」
暴力しようとしてんのかは分からねーけど。
だけど、お前の手に握られてるバットはヤバイだろ。
通行人がチラチラとこちらを見るも、関わらないように他人事で去っていく。
俺も他人事なんだけど。
責めて通報してくれよ雑魚が。
「…うるせえ!良いからその女寄越せや!」
あーうるせーなあ。
一々声を荒げんな。