よし、断ろう。
『あー、今日なんか体調悪いから〜…』
「あ!何だそれ!」
苦笑いしながら話し始めたオレの声をかきけして叫ぶ執事。
ビクリ、と肩を揺らすと執事はオレの下の方をジッと見ながら言った。
「また…何かのコスプレか…?」
『……』
尻からはみ出た尻尾がユラユラ揺れている。
……ああ、やっぱり現実か。
執事にバレ、更には兄さんにもバレた。
「可愛い……」
「だろ!?」
死にたい…
誰かオレを殺してくれ!!
動物園のパンダに初めて同情した。
「可愛すぎだよ、朔月」
『…』
「ついでに服も着替えるか?」
『うるせーって消えろ糞執事』
「何で!!」
ここでパンダ状態ならやっぱり約束を守って哲と遊ぼう。
うん、もう吹っ切れたさ。
つか、可愛い訳ねーじゃん。
百歩譲ってかっこいいだと思う。
…いや、面白さしかないと思う。
執事は馬鹿で、兄さんの目はオレに対してフィルターがかかってるんだ。
『……はあ、着替えよ』
「待ってろ、俺がコーディネートしてやるから!」
『禿げろカス』