・・・何か、久しぶり。

 私はつい条件反射でキスに応えてしまう。触れる彼の頬はしっとりとしていて、石鹸の匂いがした。

 シンプルなキスが段々深くなる。それにつれて、つい彼の首に腕を回してしまった。

 大きくてごつごつしていて案外器用な指が、私の体の上を滑る。

 彼が出す雰囲気で、愛情は感じている。色んなことをさり気なくサポートしてくれているのも判ってる。

 だけどたまにある、この触れ合いが、やっぱり一番嬉しかったりするのだ。愛されていると感じられるのだ。それは私の中で、確実な安心に変わる。

 この無口で無表情の男の目が、本能の光を浮かべる時。

 実は、情熱家だよねえとこっそり心の中で思ったりしている。

 部屋の明りも消さずに、彼が私を抱く。人様に自慢出来るような体でない自覚がある私は、流されそうな意識の端っこを引き寄せて捕まえて、苦情を言った。

「で、電気、電気・・・」

 一応、照れがあるのよね、私には。

「電気が何」

 ヤツの髪の毛が肌をこすってこそばい。降って来る唇から逃げながら、私は何とか必死で言葉を出す。

「電気消して~!」

「・・・面倒臭い」