それで、漆原家で額を寄せ合って、場所とか方角とか知り合いの不動産屋の社長も友達で賃貸会社に勤めている人にも色々と聞きまくって、あの土地を買おうと決めたらしい。

 両親が喜んで、土地の費用は自分達がもつ、と言ったのを、ヤツは断った。

 都がきっと、それは喜ばないからと。

 あらまあ、そう思った。・・・なんでそれ、判ったんだろう。

 とにかく、そうしてヤツは、自分のお金で私に黙って土地を買った。

 私は安定期に入るまでに家を建てるということを調べまくって、安定期に入ると同時に活動しだしたのだ。


 元々間取りやらなんやらを見たり考えたりするのが好きだったので、本当に楽しく決めていった。

 建築会社を決め、家のコンセプトを決め、間取りや動力を選び、壁紙や内装やと口を出しまくって。

 しんどい時には横になりながらでも出来る作業だった。

 そして、ちゃんと年始までに終らせたのだ。

 
 ま、とにかく。それはまだ、先の話。

 今は初秋で、私は来るヤツの誕生日に向けてアレコレと考えている頃だった。

 何を贈るかは決めていたのだ。だけど、若干の恥かしさが邪魔をして、中々買いにいけないでいた。

 ・・・・判ってくれるかな~・・・・。

 ヤツは思ってもみなかったことを簡単にしたりするけど、そこ!?と言うところをガッツリ外したりもする男なのだ。

 期待はしてはいけない、そう何度も自分に言い聞かせていた。