家を建てる土地を購入するのに、ヤツは実家の助けを借りたらしい。

 今まで興味のなかったそれをするのに、何とヤツは、実家へ戻って両親に相談したらしいのだ。

 後になって冴子母さんが言っていたのだが、それを聞いた時には本当に驚いた。

 あの男が、実家にお願い事を!?って。だって親と話しているところなんて見たことないぞ。いつでも親の方が一方的に息子に話しかけていた。

 それをヤツは頷くか、首を振るだけだったのに!相談!!

 冴子母さんが笑いながら言う。

 まだ都ちゃんの妊娠を知らない時で、いきなり大地が帰って来て話があるっていうから、私達、本当にビックリしたのよって。

 でも土地を買いたいって言うのを聞いて、嬉しかったと。

 ああ、この子、本当に嫁を貰ったんだなって。妻が出来たのだという、その自覚が出たんだなって思ったんだそうな。

「あの子が私達にお願いことをしたのって、多分初めてのことだったのよ」

 冴子母さんはそう言って、あはははと笑った。

 だからお父さんが張り切っちゃって、って。

 土地を購入するのに、アドバイスが欲しいと言ったらしい。自分には興味のないことで、勉強している暇が今はないからと。

「都ちゃんは?」

 そう聞くと、表情も変えずに言ったらしい。

 内緒で買いたいって。