それって、それって!

 ぶわああ~っと一気に血が顔に上がったのが判った。

 ま、まい、まいまいまい、マイホームってことですかあああああああ~っ!?

「ええええーっ!!」

 思わずガタンと音を立てて立ち上がった私を見上げて、ヤツが言った。

「庭も、作れるぞ」

「・・・」

「欲しがってたでしょ」

「・・・う、ん」

 庭。・・・欲しがってた、私。

 玄関横に棚を置いてマイ・プランテーションを作ったときも、色んな小さい鉢植を買ってきて、それをいそいそと並べている時も。

 ご飯を食べたり本を読んだり眠ったりしているやつに、私はいつでも勝手にベラベラと喋っていた。

 ――――――――一人暮らしの時にね、ベランダでガーデニングしてたの。

 ――――――――昔は朝顔だって枯らしてたのに、今では上手でしょ?

 ――――――――本当は、庭がある家に住んで、もっとたくさん、本格的にやりたいんだけどね。まあ、夢見ているだけでも結構楽しいよ。


 そんな事を話していた。ヤツはいつでも淡々とそこにいて、聞いていたり聞いてなかったりだと思っていた。BGMみたいに聞き流しているんだと。