私は更に身を乗り出して、ぐっと顔をヤツに近づける。

「ねえねえ、もうキャベツ、しないからさあ!」

「・・・」

「ごめんってば!ちょっとからかっただけじゃない!」

「・・・うーん」

「こら、オッサン」

「・・・止めた」

「うわあああ!ごめんなさいー!」

 そんなバカみたいな応答をたっぷり10分はして、ヤツは自分がさっき見ていた書類をテーブル越しに私に渡す。

「ん、何?」

 何だ、細かい文字が、やたらにあるな――――――

 受け取った書類をざっと読んで、私はハッと息をのんだ。

「・・・・君、これ」

「買った」

 顔を上げてまじまじとヤツを見る。そこにはいつもの無表情が。買った?買ったの?これ・・・

「土地を、買った?」

 私の問いかけに、うん、と頷いた。

「家、建てようと思って」

「・・・家・・・」