お箸でつつくヤツを促して、頂きますをする。いつものご飯の始まりだ。
半分ほど食べたところで、私がまだニヤニヤしているのをヤツが見咎めた。
「・・・・まだ笑ってる」
「だって、面白くて~」
「・・・」
ふう、とため息をつく。うん?私は顔を上げた。どうした、大地君?いつもと若干反応が違うぞ――――――――
いつもなら、私の相手が面倒臭い彼はさっさと食べてしまって本を読みに行ってしまうはずだ。だけど、今日は私にからかわれてもぐずぐずと食卓に残っている。
「どうしたの?」
お箸を置いて聞くと、前髪の間からちろっと見る。
「何でしょうか?」
私が覗き込むと、ボソッと言った。
「・・・あまり続くと、見せる気失くす」
「え?」
見せる?見せるって何を?
私はぐっと身を乗り出した。
「え、何何何?何か見せてくれるものあるの?」
ヤツはふいとそっぽを向く。だけど、私の食いつきに口元が緩んでいるのが判った。



