くるりと振り返ったら、よいしょ、と掛け声つきでヤツは立ち上がる。

「だって、サンプル送るって言ってたんでしょ」

 そして段ボールを指差した。

「・・・」

 言った。

 そして、同じような事を奈緒にも言われたんだった。

 私はようやく落ち着きつつある呼吸を感じて、それからむらむら~っと怒りが湧いてきた。

 奈~緒~!!!

 テーブルの上の携帯を引っつかんで奈緒へ電話をかける。彼女が今仕事中かは知らないが、留守電であっても必ず罵声を吹き込んでおいてやる。

 と、思ったら、奈緒は3コールで電話に出た。

『もしもし?』

「奈緒~っ!!!渡瀬さんの会社、知ってたならどうして言わないのよこのヤローっ!!」

 私が携帯に噛み付くと、一瞬の間を開けて、向こう側から大爆笑が聞こえてきた。

 本当にゲラゲラと笑っている。きっと涙も浮かべているに違いない。ひーひーと荒い呼吸まで聞こえてきた。

 むかっ腹立てて、片手を腰に当てて私は威嚇する。

「ちょっとっ!?」

『あはははははは!届いたのね!ついに!!』

 ・・・・超、楽しんでやがる・・・。