「姫ちゃんってさぁ、好きな人いないの?」 ―――好きな人……すきなひと……スキナヒト 何度も頭の中で繰り返されるその言葉。 その時 私の頭に浮かんだのは 忘れなきゃいけない人の顔。 もう あの人とは終わってる…… そう自分に暗示をかけ こぼれそうな涙を必死でこらえる。 いつもなら この程度で 泣いたりしないのに 今日はお酒のせいなのか いつもより涙もろくなっていた。